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介護保険を利用できない、申請していない方の訪問診療

2022.11.19

介護保険を利用できない、申請していない方の訪問診療

「要支援や要介護認定を受けていないと、訪問診療は受けられないのですか? 先日、介護認定されていない方の受入をある訪問診療クリニックにお願いしたところ、断られてしまいました」と、地域のケアマネジャーが困惑していました。本来なら訪問診療の要件は「通院が困難」ということだけなので、介護認定は関係ありません。介護保険を利用されていない方が訪問診療クリニックから受入を断られたとすれば、法的な理由ではなく、そのクリニックの経営的な方針が理由と思われます。

(目次)

理由1 介保を使えないと「居宅療養管理指導」が算定できない

理由2 医師の総合的な経験が問われる

理由3 医療以外の部分は介護保険サービスに任せたい

理由1 介保を使えないと「居宅療養管理指導」が算定できない

訪問診療の料金は様々な項目から算定されています。そのひとつ、居宅療養管理指導費あるいは介護予防居宅療養管理指導費という項目は、要介護や要支援の患者様とご家族様に対し、療養生活上でのアドバイスを行い、かつ患者様を担当するケアマネジャーにケアプラン作成のための必要な情報を、担当医師としての立場から提供する費用になります。

通常訪問診療に関する項目は医療保険で賄われますが、この居宅療養管理指導費あるいは介護予防居宅療養管理指導費は介護保険で支払われます。従って、介護保険サービスを利用していない患者様であれば、訪問診療クリニックにとっては介護保険からの適用が得られません。その額は一人の患者様につき1ヶ月最大で約6,000円(負担割合等により異なる)となります。

理由2 医師の総合的な経験が問われる

介護保険を申請していない方は64歳未満で、かつ難病や癌末期などの疾患をお持ちの方が多く、そのため担当となる医師には総合的な経験が問われるとも言えます。それに加えて普段連携し慣れている介護保険の各サービスに頼れないとなると、その他の制度や社会資源に詳しくないクリニックは受け入れをちゅうちょするかもしれません。

理由3 医療以外の部分は介護保険サービスに任せたい

なかには経済的な理由で介護保険サービスをあえて申請しない方がおられます。理由2でも触れましたが、そうなると普段連携し慣れた介護保険のサービスを受けられないため、訪問先で生活課題に直面した医師はその対処に困ることになります。それを避けるため介護保険の申請を訪問診療の要件としている可能性があります。

訪問診療は継続的に通院が困難な理由があれば誰でも利用できる医療サービスですが、上記のような理由で、訪問診療の受入を断るクリニックがあるという話を聞くことがあります。楓の風の場合、やむを得ず受入をお断りすることがあるのは診療エリア外にお住まいの方だけです。訪問診療を利用するにあたり専任の医療相談員(※)が患者様のご病態だけでなく、経済的なことなど生活面の不安や配慮してもらいたいことを含めてお話をお伺い致します。どうぞお気軽にご相談ください。

※楓の風では社会福祉士などの資格を持った医療相談員が常駐しています。患者様が療養生活をしたり、ご家族が介護したりする上での総合的なお悩みをお伺いしています。

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