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2022.09.12
糖尿病や高血圧などの生活習慣病や脳梗塞、認知症などの疾患はもちろん、難病や末期の心不全やがん、状態変化時の対応など全身をくまなく担当するのが、在宅医療です。身体の機能はそれぞれ影響し合って、病気の因子になっていることが多いため、在宅医による全身管理は理にかなった医療なのです。ところが、一般の方だけでなく医療従事者の間でも認識のズレがあると感じるのが、在宅医療でケアや治療ができる疾病の範囲です。医師は専門でないといけない、と考える方が多いようです。
在宅医療はまさに総合診療(プライマリ・ケア)です。日本プライマリ・ケア連合学会によると「身近にあって、何でも相談にのってくれる総合的な医療」です。具体的には、風邪を引いた時、ぎっくり腰になった時、じんましんが出た時、包丁で手をざっくり切ってしまった時、背中の痛みが続いて大きな病院を受診した方がよいのか悩む時、がん末期だが、住み慣れた自宅で余生を過ごしたい時……とあります。つまり、「日常的に起こる健康問題の大半について解決することが可能」で、ほとんどの症状が総合診療である在宅医療でも解決するのです。
ところが、意外に多いのが「整形外科や皮膚科の先生に診てもらいたい」「整形外科や皮膚科の専門医はいますか?」というご要望やご質問です。楓の風では、主病がじょくそう、骨粗鬆症、腰痛、下肢しびれなどで訪問診療をご利用いただいている方もいらっしゃいます(当院の主病の内訳)。総合的に診療して必要であれば専門科にお繋ぎしますが、当院で対応できる方がほとんどです。紹介は頭を打ったり、骨折の可能性があったりしてCTやレントゲンなど機器による精査をご希望の場合です。診断後は紹介先と連携して治療にあたります。
ある総合病院の総合診療(プライマリ・ケア)科の医師はぼやきます。「総合診療の医師は、他科への単なる橋渡し役ではありません。専門医でなくても十分治療できる病気がほとんどです」。というのも、医療従事者の間でも、どの医師がどのような症状を診られるかというのは医師本人に確認しなければわかりません。けれども、総合診療科で入院している患者さんが尿路感染症になった時に、看護師から「泌尿器科の先生に診てもらいましょうか」と打診されたそうです。自分でも十分診られる症状であるのにも関わらずです。この医療者のやり取りでもおわかりのように、医療で難しいのが、医師の専門から守備範囲を明確に線引きできないところです。
恐らく、一般の方が想定している以上にケアや治療の守備範囲が広いのが在宅医です。どのような質問でも構いません。「こんな症状を在宅医療で診てもらえますか?」というご質問をお待ちしております。