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2022.08.22
超高齢社会において在宅医療は終末期医療として取り上げられることが多いですが、別の側面もあります。総合診療によって受診の負担を軽減し、体調の維持・改善にも貢献しています。今回は「ポリファーマシー」に凝縮された問題を紐解くことで在宅医療の意義についてお伝えします。
複数の薬を飲むことで心身に異常をきたすポリファーマシー。めまいや転倒、食欲不振、ひどいと寝たきりや死に至ることもあります。多剤併用によって必要以上の服用、薬の飲み合わせによって起こります。
ポリファーマシーの問題を取り上げると「医師が薬を処方し過ぎるからだ。医師が稼ぐために薬を処方しているのではないか」といった意見が出ることがあるのですが、答えはNoです。
超高齢社会でポリファーマシーのリスクが高まりやすい理由は2つあります。複数の病に対して複数の科や医療機関で別々に処方される方が多いから。もう一つは長年同じ薬を同量で飲み続けている方が多いからです。人は年齢と共に臓器の働きが減退し、薬の消化・吸収力も低下していきます。ですから、薬の種類や量は効き具合や副作用に応じて、随時調整する必要があるのです。
実はこうしたポリファーマシー対策として、国は診療報酬改定によって医療従事者へ意識付けています。2016年の改定により6種類以上の内服薬から2種類減薬をした場合に加算が取れるようになりました。
ポリファーマシーの予防は医療者だけに頼るのではなく、私たち自身も気を付けることはできます。例えば、医療機関を受診する際にはお薬手帳を必ず持参して、医師に確認してもらう。また、薬局はかかりつけを決め(かかりつけ薬剤師に)、薬の飲み合わせに注意してもらうなどです。 そして、一番良いのは、今ある症状に対して薬で治療するだけでなく、服用している薬の調整や薬物療法以外の選択肢も踏まえた治療の提案をしてくれる医師に出会うことでしょう。
そこでご紹介したいのが、全身管理を目的とした総合診療(プライマリ・ケア)という分野です。
続きは、次回のブログ(2022年8月29日公開)でお伝えします。