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2022.09.05
物価上昇でいくら家計を圧迫するといっても、医療費はなかなか削れないもの。そこで、今回は訪問診療の費用について、患者様にとっての無駄な出費を抑えるという視点から解説します。訪問診療の利用を検討されている方も、既に訪問診療を利用されている方でも訪問診療のルールを知り、クリニックを比較することで、医療費の節約につながるケースがあります。これは楓の風がずっとこだわってきた経営方針でもあります。
慢性疾患で症状が落ち着いているから、訪問診療は月に1回だけお願いしたい。そう患者様やご家族が考えていても、月2回の訪問診療を原則としている訪問診療クリニックもあります。確かに、過去には訪問診療は月2回が、国が定めたルールでした。しかし、今では月に1回から訪問診療を依頼できます。実際に医師の見立てでも、1か月に1回の診察で十分な方もいらっしゃいます。では、なぜ月2回の訪問診療に固執する訪問診療クリニックがあるのかというと、財政面から経営基盤を強くするためです。
訪問診療における診療報酬の大部分を占めるのが医学総合管理料です。患者様の全身の状態と生活を踏まえてどの治療を優先させるかを総合的に判断し、計画的かつ定期的に治療にあたった場合に月に1回だけ算定できます。この医学総合管理料が月1回の訪問の場合は、月2回以上の訪問と比べて約1/2~1/3しか算定できません。従って、経営方針によって月1回からの訪問診療が可能なクリニックと月2回を原則とするクリニックが混在しています 。
楓の風では患者様が求めていない治療やケアを行うことはありません。通常治療方針を決める際、インフォームド・コンセントといって、医師が提案する治療やケアに対して患者様やご家族に同意いただく方法が取られます。これとは違い、楓の風ではシェアード・ディシジョン・メイキング(SDM)という意思決定手法が用いられます。SDMは医師が医学的見地から意見を提示するだけで、意思決定の主導はしません。患者様ご自身のお気持ちや生活に関わる部分などさまざまなことを考慮して医師が寄り添い、一緒に治療方針を決めます。
SDMで意思決定された場合、必ずしも治療やケアがフルコースになるとは限りません。病気や副作用による症状が患者様にとってつらければ適切な治療を行い、今すぐの対応が必要ない症状には医療行為は行いません。その結果、患者様にお支払いいただく訪問診療費用の削減にもつながります。
訪問診療は計画的、定期的にご自宅に伺って医療行為をすることを言いますが、患者様やご家族のご要請を受け、必要に応じて臨時の診療を行うことは往診と言います。往診の場合は初・再診料、往診料に加えて、医師が出動する時間やご病態に応じて緊急、夜間・休日往診加算などが加算されます。
往診時の加算が最も高いのは22時~翌朝6時までの時間帯で深夜往診加算です。1割負担で4,000円程、3割負担で12,000円程になります。(この料金は施設類型ごとに異なります。ここでは、楓の風が認定を受けている「機能強化型在宅療養支援診療所の病床無」での在宅緩和ケア充実診療所の料金で表記しています。2022年9月時点)。なお今後国による診療報酬改定で料金が変更になる場合があります。
医師が患者様の都度のご要請に応じて往診する場合、結果的に医師の処置が必要なかった場合でも、最低上記の金額が加算されてしまいます。そのため、まずは何に問題があるのかを第一次確認、判断をするために病院と同じようにナースコールの感覚で訪問看護師を呼んでいただきます。看護師が確認して看護師のみのケアと処置で済む場合もありますし、医師から看護師に電話で指示して終わる場合もあります。医師が往診するのは医師でなければできない処置や対応の場合に限ります。この流れは病院と同じです。もちろん往診ではなく病院で処置した方がより良いと判断した場合、救急搬送を要請する場合もあります。患者様のご容態に合わせて適切な対応をすることが、結果的に不要な出費を抑えることに繋がります。
そもそも急変して、救急搬送が必要になる回数を極力少なくするのが計画的、定期的な訪問診療をする長所のひとつです。楓の風では在宅医療チーム(※)で日々細かい変化を見逃さないように、そして、急な容態変化が起きないように努めています。急変する可能性がある場合には事前にご家族にお伝えし、前もってそうした事態にどのように対応するのが良いかもお伝えするようにしています。
過剰な治療やケアを行うと、訪問回数が増え、金銭的負担が増えることにもなりかねません。治療の内容によってはご本人の身体的負担だけでなく、ご家族の介護負担も増える場合もあります。楓の風ではご本人やご家族のご希望を第一に医学的な判断をまじえ、必要最小限の治療やケア、訪問にすることを徹底しています。
※患者様の家での療養をサポートするために作られたチームのことを在宅医療チームと言います。医師や訪問看護師、訪問歯科、理学療法士などの医療従事者がメンバーとなります。