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最期は病院か自宅か

2022.07.27

最期は病院か自宅か

最期を迎える間際に約7割の方が自分で医療の選択ができなくなります。2021年11月に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さん(以下、寂聴さん)もそのお一人でした。朝日新聞で寂聴さんゆかりの方々にインタビューした連載記事「寂聴 愛された日々」9回目の本日は、寂聴さんが最期を迎える前のご家族、秘書、病院関係者とのやりとりが詳しく語られています。

最期を迎えるのは病院か自宅か。大変難しい選択です。しかし、在宅医療に従事する私たちが申し上げられることは、ご本人に住み慣れた場所に帰りたいというお気持ちが少しでもあれば、どのようなご病状でもお引き受け致します、ということ。常々、そう考えております。状況とご依頼に応じて、思い出の場所にお帰りいただけるようお手伝いをさせていただいております。

寂聴さんが余命幾ばくも無い状態の時でした。検査結果が一進一退を繰り返している中、一縷の望みをかけての治療を全て止めるか否か、秘書の方は決められなかったと言います。しかし、いつ寂庵(じゃくあん)に連れて帰るか早く決めないと、その希望がかなえられなくなってしまう。医師の「早めに決断を」との言葉がご家族と秘書の方々を突き動かしました。

寂庵(じゃくあん)は京都市右京区の瀬戸内さんが開いたお寺です。遡ること、1か月前、体調を悪くされて入院するも一時退院されていた時のこと。「寂庵で死にたい」という言葉をご本人が口にされていたそうです。

そのご本人の言葉をご家族と秘書の方々がしっかりと共有されており、寂庵に連れて帰る決断をされました。なぜなら、最終決断をご本人に迫るも、もう話せる状況ではなかったからです。その後の状況については、是非、第9回「寂聴さんを病室から連れて帰るまで『どうしたい?』の答えは」の記事をお読みください。

「もしものとき」の治療やケア、過ごす場所について話し合っていた方は、実際にその時が来た時に望み通りにできるため、ご本人やご家族の満足度も高いです。寂聴さんの場合も、ご家族や周りの方がご本人の意思をくむことで、ご自身の意思が全うされたことと思います。

もうすぐ、お盆休みです。入院中だけれども、お盆くらいは家で過ごしたいと少しでもお考えの方も、どのような状況であってもご相談いただければと思います。

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