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誰も取り残さない在宅医療とは

2022.07.14

誰も取り残さない在宅医療とは

「誰も取り残さない」。SDGs=持続可能な開発目標、この世界のいろいろな課題を解決していくSDGsの取組が世の中に広がっていますが、在宅医療においても「取り残してはならない支援」があります。それは、第一に患者様、第二の患者様と言われるご家族や親近者の方々です。

(目次)

  1. 患者様とご家族、両者を思いやるからこそ必要な支援
  2. 支援が取り残されがちながん患者の子供たちへのケア

1.患者様とご家族、両者を思いやるからこそ必要な支援

在宅医療は病院のように生活と切り離された空間ではなく、生活の延長線上にあります。患者様の療養生活に対する満足度が上がれば、ご家族や親近者の方々の満足度も向上しやすいです。ご家族や親近者の方々の負担や不安が少なければ、患者様が迷惑をかけているというお気持ちも弱まるというように両者は常に影響し合っています。

両者がそれぞれを気遣い過ぎて精神的な負担がかかったり、あるいは相談できる相手がいなく体力的、経済的な問題が見過ごされたりしないように配慮するのも訪問診療医、訪問看護師、総合医療相談員など在宅医療チームの役目です。

2.支援が取り残されがちながん患者の子供たちへのケア

私たち自身、誰も取り残してはならないという使命感を持って日々訪問診療に携わってはいるものの、手薄になりがちな支援があることも事実です。それはがんになった患者様の子供たちへのケアです。

国立がん研究センターによると、1年間に新たに発生する18際未満の子供がいるがん患者の数は5万6千人超、またその子どもたちの数は8万7千人超だと推定されています(2015年)。18歳未満の子供を持つ親の年齢は20代~50代。この世代は病状の進行が早いものの、ぎりぎりまで病院での積極的な治療をすることが多いため、在宅医療に切り替えた際は一緒に過ごせる時間が限られている場合が多いです。こうした状況で、お子様の発達段階や性格、家庭環境などに配慮しながら、どのように関わっていくかも課題となっています。

子どもはどんなに小さくても五感で状況を察知するため、親御さんが辛そうにしていたり、イライラしていたり、見た目が変わったりなどすると、不安を感じます。見た目にはわからなくても、子どもなりに聞いてはいけない悪いことが起こっていると気持ちを押し込めている場合もあります。まだ小さいからといってシリアスな話から遠ざけるのではなく、家族の一員として向き合って話すことが子どもだけでなく、患者様ご本人の安心感にも繋がります。

具体的な話し合いの方法については、NPO法人ホープツリーがウェブサイトで案内しています。この法人は医師や看護師、ソーシャルワーカーなどの有志ががんを持った親の子供をサポートするために立ち上げられた組織です。このサイトでは、がんがどんな変化をもたらしても家族として築いた基盤は決して変わることはないこと、子どもは悲しみを受け止めながらも前に進む力を持っていることなどを紹介しています。

誰も取り残さない在宅医療とは、限られた時間にその時にしかできないことを存分にしていただくこと。そのためにはそれぞれの思いをご家族で話し合っていただくことが大事です。しかし、ご家族だけで話し合うきっかけを作ることは難しいこともあります。そのような時にこそ、私たちをご活用ください。在宅医療チームが間に入ってそれぞれの思いをつなげていくという役目を担わせていただきます。

※総合医療相談員は患者様、ご家族が安心して訪問診療をご利用できるように医療や福祉の相談に乗ったり、病院や施設、関係事業所との調整をしたりします。訪問診療クリニックによって呼称が異なったり、事務員が役割を担ったりします。