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病院の医師も驚く! 在宅医療でできること

2022.05.31

病院の医師も驚く! 在宅医療でできること

入院中に家に帰りたいと頭をよぎることはあっても「こんな病状で家に帰れるわけがない」。在宅医療で十分対応ができる病状でも、こう思われてしまう方は少なくありません。病院の医師や看病師の方々に在宅医療でできることをお伝えすると「そんなこともできるのですか!」と驚かれることもあります。楓の風で対応する特徴的な治療や処置4つをご紹介します。


(目次)

  1. お腹の張りによる苦痛を緩和するCART療法
  2. 輸血によるメリットが期待できる場合に行う在宅輸血
  3. 患者様との相性を見極めた医療用麻薬の選定と提案
    1. 家での療養生活を助けるPCAポンプ
    2. 痛みが引かないときの奥の手「くも膜下ポート」
  4. 誤挿入を防ぐ内視鏡を使った胃ろう交換


1、お腹の張りによる苦痛を緩和するCART療法


CART療法(腹水ろ過濃縮再静注法)は、がんや肝硬変などの影響で腹水が増え、息苦しくなったり、お腹の張りを強く感じたり、食欲が落ちたりするのを緩和する治療です。利尿剤や栄養補充、食事療法によって改善しない難治性腹水に有効です。

超音波を使って、腹水が溜まっている場所を探し、刺しても問題ない場所から腹水を抜きます。抜いた腹水から細菌とがん細胞を取り除き、アルブミンという体に必要なたんぱく質を再び体内に戻します。

治療時間は1~3時間かかる事から、マンパワーの問題でCART療法を実施している訪問診療クリニックは限られています。

2.貧血による不快な症状を緩和する在宅輸血


輸血は、その方に必要な成分だけ輸血する成分輸血が主流です。私たちは成分輸血のうち、酸素を全身に送り込むため赤血球濃厚液と、出血を止める血小板を採取した血小板濃厚液の2種類を実施しています。輸血を必要とするほとんどの方がこの2種類のどちらかで対応できます。

在宅医療での輸血は、CART療法と同様に実施している訪問診療クリニックは限られています。検査や物品管理に要する手間や、通常の訪問診療より4倍の2時間も時間がかかるからです。しかし、楓の風では輸血部門を立ち上げて担当医師、スタッフによる管理体制を整え、在宅医療を利用できる方の間口を広げています。

病院のように緊急時に備えた処置ができないため、事前の検査を通して慎重に行われます。また、検査体制の面で1週間に1度の輸血が基本となります。


3.患者様との相性を見極めた医療用麻薬の選定と提案

医療用麻薬は、がんだけでなく非がんに伴う痛みや苦しみを緩和してくれる重要な薬です。いかに医師が医療用麻薬を使い分けるか、適正な量を見極めていくかで、患者様の療養生活やご家族の負担が変わってきます。

ですから、当クリニックでは市販されている全ての医療用麻薬を全ての医師が使えるように試験を受けています。また、薬の選定や処方のために、訪問薬局とも連携して在宅薬剤師にも同様の試験を受けていただいています。これによりモルヒネでは痛みが引かない場合には、メサペインというモルヒネの300倍強力な医療用麻薬が使えます。全ての医療用麻薬が使えることで、その方の病状に合わせて薬を選択する幅を広げています。

3-1.家での療養生活を助けるPCAポンプ


家で療養される患者様やご家族にとって一番不安なのが、通常の薬を飲んでも痛みが引かない時や、急に痛みが走り出した時の対応です。薬や投薬法は日々更新され、ご病態や相性だけでなく、療養環境によっても選べる時代になっています。例えば、痛みがある時、ナースコールを押す感覚で患者様自ら身体に医療用麻薬を投与することができるPCAポンプという専用機器があります。これは、ボタンを押すと予め設定された量の薬が投与することができる機器です(自己調節鎮痛法)。一定数のボタンを押すとロック機能がついているので、家でも安心してお使いいただけます。

PCAポンプは、通常メーカーからレンタルして使います。そのため、どんなに急いでも調達時間が生じるのですが、当クリニックでは一部購入して必要とする方に迅速にお届けできるように体制を整えています。

3-2.痛みが引かないときの奥の手「くも膜下ポート」


医療用麻薬は痛みを伝えて感知する脳や脊髄に働きかけて痛みを抑えます。通常は全身に投与しますが、鎮痛効果が得られない場合には脊髄くも膜下鎮痛法という奥の手があります。くも膜下ポートを使用して、脊髄に焦点を絞ってモルヒネを継続的に投与する方法です。長期的に痛みをコントロールできるので、在宅療養生活を送られる方にも適していると言われています。けれども、適切な施術と管理技術が要求されるため、対応できる訪問診療クリニックは限られています。当院でもくも膜下ポートを使用の際には、利点とリスクを十分説明した上で実施することになります。

いずれも、薬は在宅薬剤師が24時間対応でご自宅に届けてくれるサービスがあり、医療用麻薬が届かないために痛みを我慢するということがないように訪問薬局と連携しています。


4.誤挿入を防ぐ内視鏡を使った胃ろう交換

胃ろうとは、チューブを通して直接胃に栄養を入れるために造った「小さなおなかの口」のことです。食べ物を口から食べられなくなった方、食べるとむせて誤えん性肺炎になる可能性がある方に取れ入れられています。

胃ろう器具は4種類あり、在宅医療では管理のしやすさからバルーン・チューブ型が推奨されています。当クリニックもこのタイプを採用しています。基本的には病院で胃ろうを造設後、訪問診療で医師が1か月に1度胃ろう交換を行います。

胃ろう交換後は、内視鏡を使って正しくバルーンやチューブが入っているかどうかを確認します。万一、お腹と胃の間にチューブが入ってしまうと、栄養剤が胃ではなく、胃の外側に流出してしまうからです。

胃ろうを造設している方は体が思うように動かない方が多いので、通院も一苦労ですが、病院での待ち時間も大変です。在宅医療に移行して、家族の負担も楽になったという方が多いです。


以上、当クリニックで対応する特徴的な4つの処置や治療をお伝えしました。他にも対応可能な検査、治療、処置、管理はホームページでご紹介しています。

《参考文献等》
服部政治ほか,吉澤一巳,益田律子ほか:がん性疼痛に対するくも膜下鎮痛法. 日本緩和医療薬学雑誌(Jpn. J. Phalliat. Care Sci.)3:31-36(2010)
NPO法人PDNホームページ