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認知症、うつ病の診断をしたいが本人が受診を渋る場合

2022.05.08

認知症、うつ病の診断をしたいが本人が受診を渋る場合

何事も対処が早ければ早い程、問題が小さく治まりやすいです。認知症やうつ病の診断もしかり。初期に診断できれば、ご本人やご家族の不安が小さくなったり、改善や治療が見込める場合があったりします。とは言っても、ご本人に強い受診拒否があっては先に進めません。本人が病院の受診を渋る時は、訪問診療の医師に協力してもらうのも1つの手です。


(目次)

  1. 訪問診療はどういう人が利用できるのか
  2. 訪問診療医の特徴
  3. ご本人を尊重した診断のきっかけを作る
  4. 治療方針に納得してから診療スタート

1.訪問診療はどういう人が利用できるのか

認知症といっても、寝たきりの場合でないと訪問診療に来てもらえないのではないかと思われていることがよくあります。「訪問診療は寝たきりの方が利用する医療サービス」という一般的なイメージが強いのかもしれません。けれども、訪問診療の対象範囲はもっと広いです。通院が困難な方も訪問診療に伺えます。ですから、認知症やうつ病の可能性があるが、本人が受診拒否をして病院に行けないという方も対象になります。

2、訪問診療の特徴

訪問診療医は、総合診療医(プライマリ・ケア医)のような役割が求められています。例えば、身体に不調があるけれどもどの科を受診して良いかわからないといった時、診断の入り口になるのがプライマリ・ケアです。身体の漠然とした初期症状から救急対応まで幅広く対応できます。つまり、複数科にまたがる診療を一人の医師が診られるのが、訪問診療医とも言えるのです。

3、ご本人を尊重した診断のきっかけを作る

こうした訪問診療の特徴を逆手にとり、認知症やうつ病が疑われながら本人の強い拒否によって受診ができない場合は、訪問診療クリニックに相談すると良いです。本来の受診目的はご本人に伏せて、糖尿病や高血圧などの習慣病や風邪などを理由に「お医者さんにお家に来て診てもらおうか」と提案するのです。病院のように診療科ごとに受診する必要がないため「認知症が疑われている」「うつ病だと思われている」と本人に気づかれずに受診できます。

認知症やうつ病の方が病院へ行きたがらないのは、ご家族にばかにされているとプライドが傷ついていたり、何かされるのではと不信感を抱いていたりするからです。けれども、ご本人も内心は自分がおかしくなっていることに気づき、不安でいっぱいだったりすることが多いです。

一番避けたいのは、本人が余計に意地になって関係性がこじれてしまうことです。訪問診療でしたらご本人に気づかれずに一人の医師でいくつもの領域にまたがる診断をし、そのまま治療に入っていくことも可能です。もちろん、診断だけしてほしいというご希望にもお応えします。

4.治療方針に納得してから診療スタート


不安や不信感が大きくなっている場合は認知症やうつ病であったとしても、いきなり診断を本人に突きつけることはありません。一回の受診で困り事を解決しようとせず、ご本人、ご家族、医師らと信頼関係を築きながら治療に入っていきます。

診断の結果、精密検査をした方が良い場合、心療内科が関わった方が良い場合には訪問診療だけでは対応できないこともあります。そのような時にはお近くの病院や専門クリニックをご紹介させていただきます。診断によってご本人やご家族がおかしいと思っていたことに納得がいき、みなさんが合意の下、治療が開始できるように整えるのも在宅医療に携わる私たちの役目です。

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